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マルシオ・リシャルデスと『早すぎる後日談』

ロッカールームを出て後半開始直前のピッチに足を踏み入れた際、彼の耳にはサポーターの声援がしっかりと届いていたという。

「Ole! Ole! Viva Marcio!」

サポーターの歌声が響いてから、数分後 ――。
ボールの右に柏木陽介が、左にマルシオ・リシャルデスが立った。

「ボクの方からヨースケに『蹴らせてくれ』と言いまいした。ヨースケも冷静に判断して(譲って)くれました。ボクらは常にピッチ内でそういう話をしますし、互いの得意な形も知っていますから、正しい判断をできる仲だと思っています」
マルシオは、あの場面をそう振り返る。

「イメージ通りでした。速いボールを蹴ろうと意識して、蹴った瞬間の感触は良かったです。きちんとミートできました」

では、蹴った瞬間にゴールを確信できたのか ―。
彼は首を振る。
「ゴールまで距離があったので、入るまで不安はありました」

彼が蹴ったボールは、見事に大分ゴールの右下を射貫いた。
3-1ではじまった後半開始早々の得点。
このゴールがなければ、逆転まで届かなかった可能性は否定できない。
たとえば、槙野智章はこう語る。
「後半の早い時間に2点目を取れれば行けると思ってました。マルシオがああやって決めてくれたことがチームを乗せてくれたと思います」
槙野は続けて、「あのFKのとき、自分の判断でGKの集中を妨げようとしていたことが、自分的には評価できるポイントだと思います」と付け加え、取り囲む報道陣を笑わせていた。
(筆者注:この発言の前に、彼は長い時間を掛けて前半の3失点について反省の弁を述べている)。
もっとも、マルシオ自身は「あのとき自分はとても集中していたので、(槙野が)何かやっているのはわかったけど、それが何なのかは明確にはわからなかった(笑)」と語ってもいる。



「Ole! Ole! Viva Marcio!」

その歌声を、マルシオは『ガソリン』と評した。
「サポーターの声援は、ボクたち選手が常に走り回るためのガソリンです。本当に感謝しています」、と。

この一発で、彼のチーム内での序列が変わるかはわからない。
だが、これからも、彼の姿勢は変わらない。それだけは、はっきりしている。
「先発で出ても出なくても、自分のできることを全力を尽くしてやりたいです」
この日も、そう口にしていた。


(了)


以下は、個人的な『早すぎる後日談』。

この大分戦でのMDPでは、偶然にもマルシオ・リシャルデスについて書かせてもらっていた。
MDPで取り上げた選手がその試合で活躍してくれるのは、当然、非常に嬉しい。そして僭越ながら、自分自身が運を「持っている」ような気にすらなってしまう。
試合後、通訳のロドリゴにそう言うと、彼はポルトガル語で「今日はMDPとしても『ビンゴ!』だった」とマルシオに伝えてくれた。

「じゃあ、これからも毎回ボクのことを書いてください!そしたら、毎回決めるから」

と、マルシオ。
もちろん冗談だ。

マルシオはあまりジョークは口にしないタイプ。
本当に気を許せる人たちの前では違うのかもしれないが、メディアの前で彼がこれまでに口にした冗談は数えるほどで、ポンテやエジミウソンのそれより遙かに少ないことはたしかだ。
余程、嬉しかったんだなと思い、こちらも幸せな気持ちにさせられた。


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テーマ:Jリーグ - ジャンル:スポーツ

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プロフィール

小齋秀樹

Author:小齋秀樹
1970年12月18日、宮城県生まれ。仙台第一高校→早稲田大学卒業。
サッカー選手のインタビュー、ノンフィクション執筆をメインに活動するJリーグ登録フリーランスライター。

著書は『goalへ―浦和レッズと小野伸二』(文藝春秋)、『敗戦記』(文藝春秋)。

サッカー専門誌や『web Sportiva』、『Sports Graphic Number』への寄稿のほか、浦和レッズのホームゲームで発行・販売される『オフィシャルマッチデープログラム(MDP)』にて『WARRIORS IN RED』を連載中。

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