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『父と子』  ミシャ監督と原口元気

23日、清水エスパルス戦前日に行なわれたミシャ監督の会見。
質疑応答が終わり「これでお開き」という雰囲気になったところで、ミシャ監督の方から別の話題が持ち出された。

内容は、メディアでの原口元気の扱いについて。
ミシャ監督の発言の主旨は、

・大分戦で交代した後の原口がチームを鼓舞する発言をしたことがなぜ記事になるのか? 同じように啓太を途中で代えたが、啓太の反応がどうだったかということは書かれない。なぜ元気が対象になるのか?

・彼がふて腐れて歯向かうような態度を取ることを、みなさんは期待されていたのではないか?

・少し偏見をもって元気を見過ぎなのではないか?

というもの。

筆者は各紙の当該記事すべてには目を通していないが、それらの記事の言わんとするところは「原口も大人になってきている」という前向きなものだったのではと個人的には思う。

もっとも、そういった細かい解釈の食い違いは別として、監督が日本のスポーツメディアにおける『スターシステム』に憤りを抱いていることは感じ取れた。

「私にとっては、元気も慎也も啓太も慎三も陽介も、すべての選手が同じです」

と、監督は語気を強める。
監督として、選手を守るのだという気概が伝わってきた。
そしてその守り方も、過保護にするのではなく、「悪いところは悪いと言う」スタンスであることも監督は明言した。
たとえば、先日の東アジア選手権決勝戦について。
ミシャ監督は原口のパフォーマンスを「非常に良くなかったと思う」と評した。そして、あの試合の決勝点が原口のドリブルシュートから生まれたことに言及し、あのワンプレーだけで良かったと評価されるようでは、本人のためにならないとキツい口調で語った。

「私は選手にとって父親のような存在でありたいと思っています。
 父親であれば、子どもに対して悪いものは悪いとハッキリ言う。私も選手に対して、ダメなものはダメと言う」

これまでにも、柏木陽介のようにミシャ監督を父親のごとく慕っているという選手たちの言葉は聞いたことがあった。
だから、もう一方の当事者である監督自身もやはりそう思っているのだなと、妙に腑に落ちた気分にさせられた。

しかし、その後に続いた言葉には、一瞬、自分の聞き間違いかと耳を疑った。

「原口選手に関しては、私自身愛情を持ってるし、彼をサポートしたいなと思ってる。彼が今後もっと成長した姿を見せられなければ、それは私の指導者としてのひとつの負けとなる」

ミシャ監督はそう断言した。
念のため、ICレコーダーで録音した音声を聞き直したが、たしかに「指導者としてのひとつの負け」と言っている。

監督、指導者という人たちはみな、口にせずともそういった覚悟をもって選手と接しているのかもしれない。
だが、その覚悟を明確な言葉にされると、やはり心震えるものがあった。


『スターシステム』と原口に関する話に費やされた時間は約12分。
これは、そこに至るまでの、監督からのコメントと質疑応答に掛かったのと同じ時間だ。かつ、大きな身振り手振りを交えた語り口の熱量は、それに倍するものがあった。

ひとしきり熱弁をふるったミシャ監督は、次のようにこの話題を締めくくっている。

「今、私が非常に緊張感と強い気持ちをもってここで会見してるのと同じように選手が明日ピッチでやってくれれば、我々は勝つんじゃないですかね」

そうジョークを飛ばし、その場の雰囲気を再び和やかなものへ変えることをミシャ監督は忘れていなかった。
そして退室の際には、いつもの「アリガト」に加え、「ソーリー」という言葉も添えていた。
質疑応答での、失点に関する言及の内には論理展開に多少の強引さを感じるところもあったのだが、このあたりの気遣いはやはり「上手いな」と思った。

『スターシステム』については、かつて指揮を執ったフォルカー・フィンケ氏も頻繁に警鐘を鳴らしており、それが氏とメディアとの間に確執を生む一因になったと、個人的には認識している。

その過去をミシャ監督が把握した上での振る舞いなのかは定かではない。
だが、今日の一事をもってメディアとの間に確執が生じてしまう、という事態にはならないことは断言できる。


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テーマ:Jリーグ - ジャンル:スポーツ

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No title

「選手がチームを鼓舞した」なんてことは

あまりにも当たり前のことすぎて
普通は記事にもならないはずですからね。

それがさも珍しいことをしたかのように記事になる
ということは、記者が原口選手に対して
もともと普通の選手とは違う目で見ていないと
それをわざわざ記事にして書こうとは思わない。

そういう意味で「原口に偏見を持ってはいないか」ということですね。

原口選手自身が招き、身にまとってしまったイメージ
からきているとはいえ、
ミシャの父としての心配りを感じることができました。

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プロフィール

小齋秀樹

Author:小齋秀樹
1970年12月18日、宮城県生まれ。仙台第一高校→早稲田大学卒業。
サッカー選手のインタビュー、ノンフィクション執筆をメインに活動するJリーグ登録フリーランスライター。

著書は『goalへ―浦和レッズと小野伸二』(文藝春秋)、『敗戦記』(文藝春秋)。

サッカー専門誌や『web Sportiva』、『Sports Graphic Number』への寄稿のほか、浦和レッズのホームゲームで発行・販売される『オフィシャルマッチデープログラム(MDP)』にて『WARRIORS IN RED』を連載中。

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