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『ピース』 ナビスコ杯準決勝第2戦 関口訓充

2週間前の湘南ベルマーレ戦、1-2と逆転されたのちの同点弾を決めたのは柏木陽介。興梠慎三が頭で落としたボールを走り込んで右足でねじ込んでいる。

ゴールを陥れる上でアクセントとなっていたのは、興梠のヘディングのひとつ前、阿部勇樹からの縦パスを関口訓充がワンタッチでつないだプレーだった。
「阿部ちゃんからボールが来たときに慎三が動くのが見えて、阿部ちゃんのボールもちょっとバウンドしてたので右のアウトで流したという感じです」
本人はそう振り返っていた。
90分に生まれたあの同点ゴール後、アディショナルタイムは4分間あった。
その短い間にも、関口はドリブルで切り込み、チャンスを作った。エリア内右から、「シュートを打てればよかったんですけど、相手のスライディングも見えたので」クロスに切り替えたボールは、触れば1点というものだった。

1週間後の大宮アルディージャとのダービーマッチ。
再び途中出場した関口は、柏木からの「お返し」とでも言うべきアシストで4-0とするゴールを決める。
このゴールの数十秒前にはマルシオ・リシャルデスと共にしつこく相手を追ってボール奪取、ドリブルで左サイドを上がると、クロスから柏木のシュートへとつなぐ場面を作ってもいた。
湘南戦から連続で得点に絡む仕事をやってのけた関口。
柏木は彼の変化を感じたと語る。
「クニ君はそれまではまだ悩みながら、自信をもてないままにやっていたと思う。けど、最近は違う」

そして、川崎フロンターレとのナビスコカップ準決勝第2戦。
チームを国立競技場へ導く重要なアシストを、関口は記録した。
柏木は同僚の働きについて、こう語っている。
「途中から入るのはやっぱり難しいと思うし、気持ち的には嫌やと思うけど、そこをクニ君が割り切ってやってくれてることで、チームの得点につながってると思う」

関口本人は、あの場面を次のように振り返る。
「中は慎三のところしか見えてない状態でしたけど、勝負どころで落ち着いて蹴れました」
試合後には、仙台の元同僚たちからアシストを賞賛するメールが早々に入っていたと言う。
「時間が短いとわかっていて、自分の中で割り切って仕事ができてるし、ここだというときに仕掛けられてる。そのへんは、迷いなくやれてると思います。失敗しても、思い切ってチャレンジすることが、今の結果につながっていると思います」

少し前までは、「自分の武器は仕掛けだ」と思いつつも、「パスをつないだ方がいいんじゃないかという迷いもあった」と吐露する。
迷いを断ち切るキッカケのひとつが、湘南戦でゴールに絡めたことだったとも語る。
「あの試合も思い切って自分のプレーはできたと思うので、そういうところでひとつ吹っ切れた。何かしらのアクセントをチームに付けないといけないと思うし、ひとつのピースとして今は上手く機能してるんじゃないかと思います」

厳しい見方をすれば、ここ3戦の活躍で、関口は期待されるレベルに『ようやく』達したと言える。それくらい、彼への期待値は高かったのではないだろうか――。
そこに至るまでに長い時間がかかったことを、本人も苦笑いと共に振り返る。
「シーズンはじまってから、厳しい時期というか、自分の中でも辛い思いをしながらずっとやってきました。けど、腐らずに前向きに練習に取り組めたことが今につながってると思います」

試合後の彼の言葉には、チームのピースとして求められる役割を成し遂げた充実感があふれていた。
同時に、《ここがゴールではない》との思いも色濃くにじんでいた。
「良いときもあるし悪いときもある。それは常に起こることだと思うので、今の結果に満足せず、これからも謙虚に1日1日の練習をやっていきたいです」
彼と同じように考え、日々、大原で汗を流している選手はまだまだいる。
この日のアシストは、本人にとってはもちろん、彼ら『レギュラーメンバー以外』にとっても特別な価値のあるものだったはずだ。
(了)

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テーマ:Jリーグ - ジャンル:スポーツ

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プロフィール

小齋秀樹

Author:小齋秀樹
1970年12月18日、宮城県生まれ。仙台第一高校→早稲田大学卒業。
サッカー選手のインタビュー、ノンフィクション執筆をメインに活動するJリーグ登録フリーランスライター。

著書は『goalへ―浦和レッズと小野伸二』(文藝春秋)、『敗戦記』(文藝春秋)。

サッカー専門誌や『web Sportiva』、『Sports Graphic Number』への寄稿のほか、浦和レッズのホームゲームで発行・販売される『オフィシャルマッチデープログラム(MDP)』にて『WARRIORS IN RED』を連載中。

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