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ミシャ監督に関する小論

15日の大原サッカー場での練習は1時間ほどで終了した。
ウォーミングアップ後、いつもならゲームへと移るところがセットプレーの練習に取り組んでフィニッシュ。これまでもゲーム中にCKを採り入れたり練習の最後にセットプレーの確認をしたりということはあったが、メインメニューがセットプレーのみというのは非常に珍しい。森脇良太によれば「広島時代含めても、ちょっと記憶にない」とのことだった。

レッズの練習スケジュールは、土曜日の公式戦を基準に、次のようなパターンが多い。

土曜日:公式戦
日曜日:リカバリー、練習またはトレーニングマッチ
月曜日:オフ
火曜日:午前・午後の2部練習
水曜日:練習
木曜日:ミーティング後、練習
金曜日:練習後、移動
土曜日:公式戦

つまり、火曜日に次の試合に向けた準備がスタートし、4日間のトレーニングで本番に臨むというサイクルだ。
火曜日の午前中は野崎信行アスレティックトレーナーが指揮して行なわれる、フィジカル中心のいわゆる『ザキトレ』。午後はシュート練習や戦術的な練習に取り組むが、これらのメニューも長い距離を走るもの(たとえば、シュート練習のスタートはセンターサークルから)が多く、フィジカル強化の要素が強い。

そして、この2部練習の午後の部は、突然キャンセルされることも度々だ。
判断を下すのはもちろんミシャ監督だ。
午前練習での選手たちの様子を見て「午後はオフ」とされることもあるが、午前練習開始前の時点ですでに「午後を休みにする」と決めているときもある。しかも、その決定を選手に伝えるのは大抵の場合、午前の練習が終わってからだ。

狙いは何なのか?

人間の一般的な心理からすると、最初から午後がオフと知っているよりも、急遽オフになった方が得した気分になるものだ。そのあたりを狙っているのか?
あるいは、オフ明け初日に2部練習を予定しておくことで、選手が翌日にも疲れが残る程オフにはしゃぐのを牽制する要素もあるのかもしれない。

いずれにしろ、ミシャ監督はそういった手練手管を駆使して、選手を上手く『操縦』しているように思う。

そこで気になるのが、今日15日のトレーニングだ。
上記の通り、セットプレーの確認だけで終わっている。
正確には、先発組と目されるチームのCKでの攻撃(右・左)→CKに対する守備(右・左)→FKに対する守備(左・右)→FKからの攻撃(右・左)の順。左右どちらも4、5本ずつ蹴られていた。

次節・大分戦でセットプレーを重視してるからなのか?
もちろんその要素はゼロではないだろう。
だが、だとすれば、綺麗な形でゴールが決まっていなかったにもかかわらず、メニュー終了となった点が腑に落ちない。

ミシャ監督が、酷暑の下での試合と練習を重ねてきた選手たちに疲労の色を見て取り、軽めのメニューにした可能性もある。
しかし、全体の3分の2近い選手は全体練習後もグラウンドに残り、シュート練習やサッカーゴルフを行なっていた。

実はミシャ監督のいちばんの狙いは、選手たちの気分転換にあったのではないか。
首位広島に快勝した直後の、前節の痛い敗戦。
そこから気持ちも身体もリフレッシュさせるための、軽めのメニュー設定という『サプライズ』だったのではないか――。

森脇良太によると、この日のトレーニングについて監督は、「こういう日があってもいいんじゃないか」と選手たちに向かって言っていたそうだ。
次節の対戦相手がリーグ最下位に沈んでいるがゆえの油断、などではないだろう。『窮鼠猫を噛む』の格言は身に染みているはず。

手綱を引き絞るより緩める方が、指揮官としては勇気がいることだと想像する。
それができるのも、自分たちが積み上げてきたものへの自信と手応え、選手たちへの信頼があるからこそ、なのではないだろうか。

(了)

追記:本来であれば、ミシャ監督に直接疑問をぶつけてみたいところなのですが、ミシャ監督の取材対応は試合前日と当日の記者会見以外は原則ナシという形のため、半ば妄想のような『推論』を記してみました。
リーグ戦が終わったら、今日のような疑問を含め、直近の試合とはあまり関係ない事項でも気軽に聞ける機会があればなあと思っております。まあ、その際にたずねても上手くはぐらかされる可能性もありますが(苦笑)。


追記2:ミシャ監督に限らず、ヨーロッパの監督はあまりセットプレーの練習を行なわない傾向にあり、一方で、日本人監督はセットプレーに手間暇掛けるのを惜しまない指導者が多いような気がします。統計を取ったわけではないので、あくまで印象ですが。(南米の監督については、印象を語れるほどの数を見ていないので、ここでは除外します)。

「誰がニアに飛びこんで、誰がファーに流れて」みたいなことを細かく設定するのは、日本人の気質に合っているところもあるのかもしれません。
そして自分も含め、セットプレーの練習と聞くと何か特別なことのように感じて、「おっ、次の試合はやる気だな」というような印象を抱きがちな気もします。
『セットプレー = 飛び道具・秘密兵器』のようなイメージが頭のどこかにこびりついているのかも。

けれど、よくよく考えてみると、「誰がニアに~」といった約束事をいかに事細かく設定したところで、可能な決定力アップの限界は割と近いところにあるような・・・。
たとえば去年と今年のレッズのセットプレーの違いは何か? 柏木選手が「今年は良いボール蹴れてる」という要素もありますが、興梠選手と、何と言っても那須選手の存在が大きいわけで。それ以外の条件では去年と大差がないことを考えると、セットプレーの得点増減はボールの質と受け手の高さ・強さに左右される割合が非常に大きいとも言えます(今さらですが)。逆に、練習による伸びしろというのは意外に小さいのかもしれません。
もちろん、セットプレーの練習をすることで、キッカーと受け手たちが擦り合わせをする材料ができる、という効果は依然として残るとは思いますが・・・。



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テーマ:Jリーグ - ジャンル:スポーツ

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プロフィール

小齋秀樹

Author:小齋秀樹
1970年12月18日、宮城県生まれ。仙台第一高校→早稲田大学卒業。
サッカー選手のインタビュー、ノンフィクション執筆をメインに活動するJリーグ登録フリーランスライター。

著書は『goalへ―浦和レッズと小野伸二』(文藝春秋)、『敗戦記』(文藝春秋)。

サッカー専門誌や『web Sportiva』、『Sports Graphic Number』への寄稿のほか、浦和レッズのホームゲームで発行・販売される『オフィシャルマッチデープログラム(MDP)』にて『WARRIORS IN RED』を連載中。

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